* * *
最初に見たのは天井だった
見慣れた天井
あ、俺の部屋だ
と、気付くのに時間がかかり
「あら、起きたの」
「……っっ!」
どうして気付かなかったんだということが、隣りにいた
彼女だ
見慣れた顔なんだが……
「ちかっ、近いって……ごほっ」
それから遠退こうとして、体の力が一気に抜けた
倒れそうになったので、とっさに手に踏ん張りをつければ
弾力があった
ベッドの上だ、ここ
改めて自分の周りの把握する
そっか、風邪を引いてその後――
「ベッドまで、運んでくれたのか?」
「ええ。重かったわ。――とりあえず、横になってなさい」
そう言うが否や、彼女は無理やり俺を横にさせた


