あんな話を聞いてしまったからか 夜は寝れなくて こっそりとベランダに出た。 月がきれいだった。 見上げながら私は考える。 ――爽は、なんで私を学園に入れたのかな。 お父さんを死なせたのが自分だって思ってるから? そのせいで貧乏な私がかわいそうだったから? 優しくしてくれたりしたのも……そのためだったのかな。 でも、それなら、なんで 美羽さんのほうにいっちゃったの? 「わかんないよ……爽の、ばか」 そうつぶやいた時、後ろで引き戸の開く音がして。 振り向くと、櫂がいた。