「おい」

あたしは無視をする

「おいっ」

朝倉があたしの手首をつかんだ

「何よ!」

「頭がズキズキ
いてーんだ
夕飯、食いに行こうぜ」

「は?」

「どうせ、お前も一人だろ?
飯くらい、いいだろ」


どうして朝倉は
知っている?


あたしが一人暮らしだって


父親が用意したマンションで
一人暮らしだ


あたしには母親がいない
生きているのか
死んだのかも知らない


誰も教えてくれないから


父親は好き勝手に生きている
愛人と暮らしたり
気ままに一人になったり


再婚はするつもりはなく
若い女を次から次へと
抱いていた


そんな生活を
娘には見られたくないようだ


だからあたしは
家を追い出された