あたしは動けなかった 智世の血の気のない顔を見た 生気が失われていくのが わかった 人の死を目の当たりにしたような… 呼吸してた? 心臓が動いてた? だらりと下に落ちた手に 真っ青で痛みに歪んだ顔 海の動きも 朝倉の叫び声も 何もかもが スローモーションだった なのに 教室を出て行くまでが 早くて あたしは… 何もできなかった 錘をつけた鎖で繋がれたみたいに じっと教室の隅で 座っていた 智世の鞄を握り締めたまま あたしは ずっと座っていた