心臓を鷲掴みされたような苦しみが、胸に走った。
もし、このまま、咲が目を覚まさなかったら……。
俺は冷水を頭から被った様な寒気がした。
咲!
咲!!
おまえが居なくなったら……俺は俺じゃいられなくなりそうだ……。
俺は無意識に咲の右手を握り、心の中で話し掛けてた。
「どうぞ……座って」
由紀先輩はそう言って、俺の横にイスを置いてくれた。
俺は頭だけ下げて座った。
その様子を見て、由紀先輩は部屋を出ていった。
「咲……頼むから……もう一度、声を聞かせてくれよ」
俺は、ギュッ、と咲の右手を強く握った。

