ヴィナス・アプロの伝言(メッセージ)


「ふ〜ん」

雄一君は、そう一言、呟くだけ。


訊かないの?
『おまえ、何、言ったんだよ』って?


誤解、してないの?
私が彼女を泣かせた……って。


彼女が泣き虫だから、って、納得してくれたの?



わからない。



「私、もう帰る」



気が付くと、カバンを持って、地学室を出ていた。


わからない。

私……雄一君が、わからない。