そして、高校3年の秋。



「咲先輩って、雄一先輩と付き合ってるんですか?」

あまり親しくない1年の後輩が、唐突に訊いてきた。

この質問に、私はいつも、こう答えてる。


「単に気が合うだけよ」


すると、その後輩は次に言った。

「咲先輩の家族の事、雄一先輩、知ってるんですかぁ?」



一瞬、ドキッ、とした。

そして、中学生の時の事を思い出す。



知ったら、雄一君も……離れて行くの?


そんなの……。


「私が知る訳、ないじゃない」


そう一言、答えただけなのに。