足元で丸くなり怯える姿を見下ろすと、役人は刀を鞘に収めながら吐き捨てるように言った。


「ふん…、知らぬなら、教えてやろう。

この小娘の父親はな、いやしくも異国の女に子を孕ませ、姿をくらました。

挙句、その男は今もどこかで人を斬り続けている非道な殺し屋に成り下がった!


……実の子ならば、父親の代わりに懲らしめを受けて当然だろう。」


役人のその非人道的な言葉は、怯える吉代の耳には届かなかった。


……そして代わりに、今にも倒れそうになるのを必死で堪えている梳菜の耳に、しっかりと入ってしまった。



―――わたしの……おとっさん……が…?