「松本先生?」
今日はよく
声をかけられる。
そう思いながら
振り返った先…
社員さんと
あの、
得体の知れない男が
立っていた。


「松本先生、
 事務の村尾さんから
 聞いてません?
 今日、先生のクラス
 ほとんど甲子園だから
 休講なんですけど…」


そう言われてみれば
向かう予定だった
クラスは
トップクラスの
高2国語クラスだった。
来るメンバーは
ほぼ全員同じ高校で
そのうちの8割が
野球部か
応援団に所属していた。
13年ぶりに
春の選抜高校野球の
出場権を得た、
と思ったら
なんと準々決勝にまで
進んでいた。