「これを見なさい!」



そう言って美波はプリント用紙を一枚俺に見せてきた。



「なになに…?

御門台祭………ああ、文化祭か」



うちの学校では、三年生は受験生故に基本的に文化祭は参加しないことになっている。


参加しない以上興味のない俺は、そんなこと気にしていなかった。



「そ、それと…これ………」



そしてもう一つ、薄い紙束を渡す。



何だこれ…?


演劇の台本………



「ロミオとジュリエット…?」



「そ、そう…
私のクラス、演劇で…『ロミオとジュリエット』をやるの…」



「へぇ…配役は………

げっ…」



目を疑った。


てか、神様のいたづらにしか思えない。



「お前がジュリエットで…結城がロミオって………」



そう言うと、美波は今にも泣きそうな表情を浮かべた。