妹なんていらない

「美波、ゆっくりでいいからばた足だ」



「…………」



「おい、聞いてんのか?」



「うるさいわね…

聞こえてるわよゴミ虫」




さて、何故かさっきまでの結城のポジションが変わってるわけだが。


…これにはわけがある。




     ◇




「そうそう、やっぱり高橋さん運動神経いいね!」



「そ、そうかな…?」



「うん!
さすがは先輩の妹!」




だから…血はつながってねぇっての。



俺の妹だろうが何だろうが俺とあいつは血縁上は他人だからな。




………と、二人の会話をこっそり聞いていると、浜辺から誰かが叫んでいるのが見えた。



「しーんーいーちーーー!!!」



しんいち、しんいち………



多分、結城真一のことだろう。