ザー…… そんな音しか聞こえない部屋で、私はただ、ひたすら泣いていた。 『暁兎のことっ……忘れるくらいの…人なんているわけないじゃんっ……』 いるわけがない。 暁兎のこと忘れるなんてあり得ない。 ふと華兎を見ると、華兎が私の手を握ってきた。 「俺じゃ…だめか?」 『え…?』 「朱鳥が兄貴のこと忘れられるくらいの人見つけられるまで、俺が兄貴の代わりになっちゃだめか?」