「…ふーん」

あたしは屋上で
昨日のことを
奏に話した。

空河楽斗に
家のことがバレたこと

改めて告白されたこと

空河楽斗が
他の男と違って
優しかったこと

一瞬気を許して
しまいそうに
なったこと…


奏はうん、うん、と
あたしの話を
聞いてくれた。



あたしが話し終えると
奏はただ考え込んで
黙ってしまった。


そしておもむろに
口を開いた。


「あのさ、鈴」
「うん」
「あたしは…
いいと思うんだ」
「…え?」

奏はあたしの顔を
真剣に見て
話し出した。


「あたし、今までは
鈴の男嫌いは
ムリして治さなくても
いいかな、ッて思ってた

でも、やっぱり
これからのこと考えると
男嫌いでいいことなんて
1つもないでしょ?

それで、鈴が楽斗くんに
気を許しちゃいそうに
なったッてことは
楽斗くんの暖かさが
鈴の心を動かすほど
だったッてことじゃない?

鈴がどうしてもいやなら
ムリにとは言わないけど

でも、
楽斗くんのおかげで
昔の彼のことも忘れて
男嫌いも治せるんなら…

あたしは、そっちの方が
鈴にとって
幸せだと思うの」