…なんだ、これ?

今まで何人もの女と
キスしてきた。


なのにこの子だけは…

この子とのキスだけは…


他の女のキスとは
比べ物にならないくらい
気持ちよかった。


「あんたの唇
いいかんじ」


気づいたらオレの口から
そんな言葉が出ていた。


「ねえ?聞いてる?
オレ空河楽斗。
オレとつきあッ…


ばちーーーん!!


道路一面に響き渡る
乾いた音。


「最ッ低!!」


その子は涙ぐみながら
犬をつれて走っていった


オレは赤く腫れた頬を
おさえながらただ呆然と
その後ろ姿を
見送るのだった…。