しびれを切らしたのか、
楽斗はあたしの
手をとって無理やり
自分の腰に回させた。


うわッ恥ずかしいー…



多分今のあたしの顔は
真っ赤だろう。


楽斗が前向いてて
良かった。



しかしそんな顔の
火照りに、心地よく
冷たい風があたる。



気持ちいいな…



初夏の風に身をまかせて
楽斗の広い背中に
とん、ともたれた。



楽斗の心臓の音が
トクトク…と聞こえる。





それからはお互い
無言だった。


言葉なんていらない
気がした。



この静かな、
でも幸せな時間が
ずっと続けばいいのに…





しかしそんなあたしの
ささやかな願いは

すぐに
打ち消されるのだった…