そして…



「楽斗くん…
辛そうだね…」


今はファイナルセット。



このゲームをとった方が
勝者となる。



状況はわずかに
梢吾がリードしている。


「やあッ!!」
「…ッ!!
…くそ!!」



またポイントを
とられてしまった。

「バック側が
狙われてるな…」
「やっぱり?」
「あいつ前から
バックハンド
苦手だったもんな…。

だからちゃんと
克服しろッて
言ったのに!」


確かにさっきから
バック側に打たれて
ミスするケースが多い。



でも…
何か違和感を感じる。


なんだか楽斗は
足を踏ん張りきれてない

だからフォームが崩れて
上手く打ててないんだ。



…そっか!
違うんだ!

あれはバックハンドが
苦手だからじゃない!


確信したあたしは
部室に走り出した。


「ちょっと鈴!?」