「おい、楽斗!
開けたドアは
ちゃんと閉めろよ!」
「えー。初音が閉めてよ
普通気づいた奴が
閉めるだろー」
「アホか。
オレが閉めたって
お前のために
なんねえだろ」



いつもの親子のような
会話におもわず
笑みがこぼれる。



「あ!!鈴!!」
「…何?」
「へへッ、おはよう!」
「うん。おはよ」



ちょっと騒がしすぎかも
しれないけど

どこか落ち着く。


今日もいつも通りの
そんな空間が続くんだと

この時のあたしは
安心しきっていたんだ。


最悪な影が
近づいていることにも
気がつかずに…。