私の唇にやさしく当たるものは何もなくて。 目を開けると 佑は私の頬をつつんだまま、うつむいていた。 「ごめん……」 「な、んで…謝るの?」 「………」 佑はゆっくりと私の頬に添えられた手を下ろして、 ぎゅっとこぶしを握った。 佑? 何があるの? 教えて。 私じゃダメ? 力になれない? 今度は本当に私自身の涙が頬を伝い始める。 それを見た佑は 私を深く抱きしめる。 抱きしめられるけど、 今世界で一番近いはずなのに、 遠いよ。 遠いよ、佑。