「んーっ!!」


「シーッ!みぃちゃんうるさい」


ジタバタと暴れる私の口を塞いでいたのは、愛梨だった。


分かったから離して、とジェスチャーで伝えると、ようやく愛梨はその固い腕から解放してくれた。



「…ぷはっ。殺す気か!」


愛梨の頭をベシッと叩く。



「ちょっと脅かそうとしただけじゃん」


叩かれた頭を撫でながら、愛梨が唇を尖らせる。


脅かすにも時間を考えろ!と説教すると、ようやく観念したようにベッドに腰を沈めた。



「ごめんって。でも私、ずっと待ってたんだから」


「はぁ?」


「話があるの」


「何。また男の話?」


あの豚野郎といい、他人の恋愛沙汰に巻き込まれるのはもう御免だ。



「そうじゃなくて、お父さんのことだよ」



「……え、」




愛梨の口からお父さんの話題が出たことに、思わず息を飲む。