「あの、店長…」 「ん?」 「その…志季…じゃなくて桜沢さんは…」 「あぁ。志季ならレジ清算中」 「あ、ありがとうございます」 軽く頭を下げ、その足でホールに出る。 こちらに背を向けてレジ操作する志季の背中を見たとき、思わず胸が高鳴るのを感じた。 「…あの、」 「……」 ──ピッ、ピッ、 私の気配に気づく様子もなく、日計レシートと睨めっこをしながらただ黙々とレジを操る志季。 な、なんか話しかけずらいんですけど……。