…──“戻ってこい” ヤツは確かにそう言った。 聞き間違いなんかじゃないよね。 いやでも、ありえなくない? 私、あんなに迷惑かけたのに。 それとも何? 冗談の冗談♪とかそうゆうオチなわけ? 志季のことだから…ありえなくもない。 「…あの、美希」 「…あ。なんだ夏生、いたの」 「……絞め殺すぞ」 「じ、冗談っす」 やけに静かだと思ったら、夏生の存在をすっかり忘れていた。 「ごめんって」 頭に角を生やした夏生の肩の背中を必死でさする。 夏生を怒らせようものなら、私に明日は無いからね。