『ちゃんと、愛されてる』
志季の言葉が蘇る。
そうだよ。
大丈夫。
お父さんを──…
みんなを、信じよう。
──カチャ。
静かに、ドアノブを捻る。
「…美希!」
直後、私の目に飛び込んできたのは、真っ青な顔で立ち上がるお父さんの姿だった。
「…お父さ」
「美希!良かった!良かった!」
ギューッっと力強く抱擁される。
それは久しぶりに感じるお父さんのぬくもりだった。
「…お父さん、聞いて」
小さく呟くと。
「あ、あぁ、すまん。つい」
お父さんは慌てたように私の肩から手を離し、再びソファーに腰を下ろした。
私と愛梨も、それに続くように隣へ腰を下ろす。
向かいには─…望さん。
彼女も泣いたのだろう。
マスカラが滲んで、目の下が真っ黒になっていた。


