「愛梨、この人はね…」
「相澤の妹さん?初めまして」
出たよ!!
私の言葉を遮って、例の偽造スマイルでスッと愛梨の前に足を踏み出す志季。
「え、あ、はい……」
おーい、愛梨チャン。
目が思いっきりハートマークになっちゃってるよ。
騙されないで。
そいつは──…
「そうなんだ。相澤に似て、かわいいね」
「───!?」
え、何。
今の、私の空耳?
「や、やだ!かわいくなんかないですっ」
……空耳じゃないし。
ゾゾゾーッ……
体中に鳥肌が立つ。
「あのォ、みぃちゃんとは一体どうゆうご関係で」
「ちょっ…愛梨!」
いらん事言うなー!
そう叫ぼうとした矢先。
「俺?相澤の彼氏」
──チーン。敗北。
鬼だ。
この人、鬼だ。
もはや返す言葉もなく、唖然とする私に。
「ね?」
志季は極上のスマイルを向けてきやがった。
……悔しい。
めちゃくちゃ悔しい。
でも、堪らなく、
カッコイイ…です。


