鬼畜王子の飼育方法



自宅まで、距離にして数十メートル程の場所。


街灯の下、何やらキョロキョロと周囲を見渡すその影は、間違いなく我が妹の姿だった。



「…愛梨!」

「!みぃちゃん!?」


私に気づくなり愛梨が、慌てた様子でかけ寄ってくる。


そして。


「愛…」

「バカーっ!!」


ふわっ。

気づけば、愛梨の細い腕の中に抱きしめられていた。


「あ、あの、」

「バカバカバカ!超心配したんだからね!?」

「…愛梨、」


私をギュウッと抱きしめながら、愛梨は泣いていた。



「お父さんがっ、みぃちゃん出てったって真っ青な顔して言うから、私ッ…」


「愛梨。ごめん、愛梨……」


いつも生意気で、やけに大人びていて、滅多に涙を見せない愛梨。


そんな愛梨が、今日だけは小さな子供のように泣きじゃくっている。


「良かった…無事で、良かったよぉぉっ」

「あ、あ゙いり゙ー!」


バカバカ。

あんたがそんなだから、私まで釣られて泣いちゃうじゃんか。