──謝ろう。


それしか無い。

再婚に賛成か反対かうんぬんの問題じゃなく。

それ以前に、私は人として、あの人…望さんに酷いことを言ってしまったから。





「志季先輩、私、帰ります」


スッと立ち上がり、志季の前に立つ。


そして。


「志季先輩のおかげです。本当に…ありがとうございました!」


ペコリ。

頭を下げた。



ポカンとしたまま、志季の真ん丸な瞳が私を見上げる。

か、かわいい…

って、そうじゃないだろ私!



「…それじゃあ、」

「待て」

「…へ、」


グイッと、腕を掴まれて。






「忘れ物」


───チュ。






「……ッ!」



それは一瞬の出来事だった。


瑞々しいリップノイズが響いたと同時に。


額に感じるあたたかい感触。




え?

えぇぇ?

エェェェェェーーー!?