「それより、さ」


志季がニヤリと笑う。


「俺の王子っぷり、どうだった?なかなかサマになってただろ?」


「…全然。むしろ心の中に北風が吹きました」



ったく、何が『姫』だよ。

あんまりにも柄じゃないから、鳥肌が立ったっつーの!


「学校ではそうゆうキャラにしといてよ!」

「だったら一人でやって下さい」


第一私だって、『姫』なんてキャラじゃないし。

公衆の面前で羞恥プレイさせられたようなものだよ。

溜め息をつく私に、志季の眉間がピクリと動く。


「…つかお前何なの?カリカリしすぎ。糖分足りないんじゃね?」


「なっ…!一体誰のせいだとー…」


そう飛びかかろうとした瞬間、思わず体が硬直した。


「シー。人が見てる」


志季の手が…手が…っ、

く、唇にっ!!



「んーっんー!!」


じたばたともがいてみても、離してくれる気配は無くて。


心とは裏腹に、熱が体中を支配してゆく。