もはやツッコミの余裕さえ、夏生は与えてくれない。


まぁ、それだけ必死なんだろう。


なんてったって、夏生にとって柿崎先輩は初めての彼氏なわけだし。



バカだの、死ねだの、悪態ばっかりつくわりには、実は誰よりも繊細でナイーブな子なんだよね……。

付き合いが長いからこそ分かることだ。





「……分かったよ」


「え!」


夏生の表情がパアッと明るくなる。


「今回限り、だからね?」


つくづく、私は甘いと思う。



「…美希様っ!」


先程までの態度はどこへ行ったのやら、今度はまるで私を女神のように崇める夏生。


仕方ない。

親友の為だ。


ここは、この美希様が一肌脱いでやろうじゃない。