うっすらと真っ白な絨毯を敷いた頃、気付けば雪は止んでいた。


蜜葉が俺の前でだけ泣くようになったのはいつからだったかな。


腕の中の女の子が俺だけのものだったらいいのに……。



「蜜葉、我慢しなくていいよ」



ドアの前で座り込んだまま、俺は蜜葉を抱きしめていた。


背中をさすりながら時折ポンポンと背中を叩く。



「たかにぃ……ごめんね……?いつも、ごめんね……」



小さな声で蜜葉は謝った。


別に謝らなくてもいいのに。


“俺の前では我慢するな”


いつか言った言葉を思い出した。


蜜葉を一人きりで泣かせたくなんかない。


辛いことがあったら、俺を頼って欲しい。


ただ守りたい。


それだけの理由で放った言葉が、今は俺を苦しめてる。


泣きたい時に頼れる幼なじみって関係を、自分から作ってしまったのだから。


少しずつ落ち着いてきたのか、蜜葉が息を吐いたのが聞こえた。



「大丈夫か?」