1階の食卓に降りると、既に朝食が用意されていた。


コーヒーの香りが部屋に立ち込める。


お母さんがトーストを乗せた皿を運んでくる。


「おっはー、バカ娘」


「おっはー、クソママン」


朝の挨拶は済んだ。


わたしの唯一の家族にして母親、七尾春美。(ななお はるみ)


自称・17歳と○○○ヶ月。


年甲斐もなく髪を茶髪に染めていやがる。


自分の母親を美人と言うのは恥ずかしいが、人様からよく言われるので、おそらく美人なのだろう。


当然、その遺伝子を受け継いでいるわたしも美少女なのだ。なんちゃって。


ちゃっちゃと食事を終わらせ、カバンを持つ。


「行ってきまーすっ」


「行ってきな」


古い家から、外の世界へと飛び出した。