それは、輝く星空のように

「・・・こういうのは、初めてか?」


智徳は少女に尋ねる。


麻薬、とは言わなかった。


「・・・はい」


少女の表情に影が落ちる。


「・・・・・・」


思わずため息をついた。


おおよそ、麻薬とは縁遠そうな少女。


彼女が何故こんなものを欲しているかなど、そんなことはどうでもいい。


深く立ち入らない。それがお互いのためだ。


だが、彼女に大麻を売りつけ、地獄の入り口に招いているのは他ならぬ自分なのだ。


そう思うと、良心が少し痛んだ。


「あんまり、やりすぎるなよ」


「え?」


智徳の言葉に、少女が不審そうに聞き返す。


こんなものを売りつけてきた本人から、そんな言葉が出るとは夢にも思わないだろう。


智徳自身、自分の言葉が不思議だった。


この少女を促せば、上客となってもっと自分の金庫を肥やしてくれると言うのに。


「死んだら、元も子もないだろ」


・・・それだ。


死んだら、二度と買ってもらえなくなる。


そう思うことにした。


「・・・気をつけます」


少女は会釈をして、その場を去った。