校門のところまで来ると、知り合いを見つけた。


「ぼんじゅーる弥生さん、今日もいいお天気ね。オホホ」


フランスのマダムのように挨拶する。


「・・・誰だ、お前」


誰!?


その言葉にわたしはひどい衝撃を受けた。


「ひ、ひどいよ弥生ちゃん、この完全無欠の美少女にしてあなたのお友達・七尾菜月ちゃんを忘れるなんてっ」


「や、あたしの友達にフランスのマダムはいないから」


的確にわたしの狙いを把握してくれる。


わたしの数少ない友達のひとり、鮫島弥生(さめじま やよい)。


ツリ目で、毛先を少し巻いた短い茶髪。


クールで大人っぽい雰囲気を持ったヤツだ。


「弥生、冷たいよ・・・」


「や、正直引いたし」


「・・・ジマ?(造語)」


「ジマジマ」


「じゃあ明日は歌のお姉さんのようにあいさつをするとしよう」


「普通にあいさつしなよ」


「ヤダよー」


わたしは頑として首を横に振る。


ふと、クラスメイトが通りかかるのが目に入った。