それは、輝く星空のように

「せんぱいには、ないんですか?」


「何がだ?」


「夜空に瞬く星のように、たいせつにしたい思い出です」


どこから出てきたのかはわからないが、そんな表現が浮かんできた。


「・・・・・・」


少しの間をおいて。


「ないな」


きっぱりと答えた。


「寂しい人生ですねー」


本心から言った。


思い出が楽しくない人生に、何の価値があるだろうか。


「寂しいかどうかを決めるのは、お前じゃない」


「そりゃまあ、確かに」


ただ、わたしは、そんな人生は寂しいと思っただけだ。


「それにな・・・」


せんぱいがコーヒーを飲み干す。


「人間、自分で思っているほどかつて幸福だったこともないし、いまが不幸だってこともない」


「はぁ、達観した考え方ですね。思い出を否定したいんですか?」


「そうは言わない。だが、少なくとも金にはならない」


羽田智徳にとっては、価値のないものだということか。


思い出に、意味なんてないと。


何が、彼にそう言わせるのか。


どこか悲しかった。