『正直、風邪ひいてるからあまり味がわかりません』

僕は素直に感想を言った。

『ひどーい。味がわからなくても、お世辞で良いから美味しいって言って欲しかったな』

ミズキは少し不満げだった。

『でも久しぶりの手料理を食べて、何かホッとするような…そんな温かさを感じます』

僕がそう言うと、ミズキはニコッと笑ってくれた。

そしてミズキはゆっくりと、僕におか湯食べさせてくれた。

『ご馳走様です』

僕が食べ終わるなり、ミズキはキッチンに行き後片付けをした。

『ねぇ、ケイゴ。薬ちゃんと飲みなさいよ』

ミズキは洗い物をしながら、寝ている僕に言った。

『分かってるんですけど、薬は今切らしてて…』

『薬ないの!?だったら早く言ってよー、薬局締まっちゃうじゃない!!』

ミズキは洗い物は手早く済ませ、鞄を持った。

『ちょっと風邪薬買ってくるね』

ミズキはそう言って足速に部屋を出て行った。