『…ケイゴ』

ミズキはそう呟き、砂浜の方を探した。

夢中で探し続け、いつの間にか夜が明けようとしていた。

すると昇り始めた朝日が照らすその僕の足元で、何かがキラリと光った。

『あっ、あったー!!ありましたよミズキさん』

僕は水の中からネックレスを拾いあげた。

ミズキは僕の声を聞いて、駆け寄ってきた。

僕は朝日を背にミズキにネックレスを手渡した。

『ありがとう…ホントにありがとう』

ミズキはネックレスを握りしめ、目に涙を浮かべ喜んでいた。

そんなミズキの笑顔を見た僕は、無意識に笑みが零れた。

『さあ、帰りましょう』

僕は靴をはき、道路の方へと歩きタクシーを止めた。

ミズキはネックレスをはめ、靴をはき、ケイゴの後をついて歩いた。

『ケイゴ。本当にありがとう』

ミズキは僕を見て笑顔で言った。

『うん』

僕は一言だけそう言った。

そして僕らはタクシーに乗り込み、自宅へと帰ったのだった。