彼は私を愛するように
梨絵さんを愛するのだろうか

同じように愛撫し
同じようにキスをし
彼女を求めるのか




彼はずるい
ずるくて汚くて卑しい

でもそんな彼に愛されることを望んだのは
他でもない私だ



「ちょっと酔っちゃったかも…
外の空気吸ってくるね」



何が私の心を乱すのか
慣れてしまえば平気なものだと思っていた

それなのに
いざ目の前にすると恐ろしいほどの現実感が
私に向かって押し寄せてくる




肌に浸透するほどの冷たい空気は
頭を冷やすのにちょうどよい冷たさだった

冷静になってみると
何となく自分を客観視することができる




汚いのは私の方だ
二番目であることを受け入れ
それでも彼にしがみつく醜い自分

何より
そんな自分の情けなさに
不甲斐なさに嫌気がさしているのは

自分自身に他ならなかった