「あ・お・いっ」 ワントーン高くおねだりするような声に、続く言葉が予想できてしまう。 「どうせ“葵衣ん家行っていい?”でしょ?」 来栖 朱里(くるす あかり)は、ゆるく巻いた髪に指を絡ませながら何度も頷く。 「いいよ。じゃあ、行くよ」 呆れたように言うあたしに抱きついた朱里は「やったぁ〜3日ぶり」と叫んだ。 “3日ぶり”じゃなくて“3日しか”でしょ?! 朱里は週に2、3回はあたしの家へ来たがる。 理由はたった一つ……