「パパ!」 大きく手を振ったあたしに気づいて、パパは笑った。 「おぉ、葵衣。どうした?」 秘書の人と会社を出ていこうとしたパパと、本社の入口で出くわした。 「今から出かけるの?」 「あぁ、ちょっとな。どうせ、パパに用事があったわけじゃないだろ?」 そう言われ、思わず顔が赤面する。