Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】

ブォォォ…

固まるあこと卓ちゃんを見つめた後、ヒロトの車は静かに病院へ走り出した。


長くない…
長く生きれない…

長くない…
長く生きれない…

時間が…ない…

頭の中でひたすら繰り返される言葉。

長く生きれない。


あっちゃん…

あこはね、あの時、夢と現実の境目を漂っていたんだ。

あっちゃんが生きているのか…いないのか、それすら分からないくらいだったんだよ。


パカパカパカ…

病院に着くと救急車のランプが不気味に辺りを照らしていた。

ゾクッ…
その真っ赤な灯りを見て、悪感が走った。

病院に入ると、救急の待合室の椅子にうつ向いたおばちゃんが暗闇にポツン…と座っていた。

『おばちゃん!!』

あこと卓ちゃんとヒロトの姿を見て、おばちゃんは堪えていた涙を流した。

「あんた達!ッッ…ウッ…あこちゃ…」

おばちゃんは立ち上がってあこに駆け寄って強く強く抱き締めた。