Snow Drop～天国からの手紙～（下）【実話】

バンッ！！

ﾋﾛﾄは悔しそうにハンドルをおもいっきり叩いた。

「ｱﾂｼの気持ちも分かってくれよっ！！

…ｱﾂｼはｱﾂｼなりに精一杯なんだよ！もう、余裕なんてねぇんだよっ！！」

いつもふざけてばっかりのﾋﾛﾄの興奮している姿に体がこわばってしまった。

『…ご…ごめんなさ…』

そうだよね…
ﾋﾛﾄだって辛かったはずだ。

スッ…
ﾋﾛﾄの肩を掴んでいた手をそっと話して、またシートに深く腰をかけなおした。

「あこちゃんッッ！」
ビクッ…

ﾋﾛﾄの何かを決意した声に体がビクついてしまった。

ﾋﾛﾄはあこと卓ちゃんに背を向けてただまっすぐ目の前に続いている真夜中の真っ暗な道の先を見つめていた。

ﾋﾛﾄの頬を涙が伝っていた。

ポト…
その一粒の雫が落ちた瞬間だった。

ﾋﾛﾄは静かに話だした。

「…もう、長くないんだ。」

『…はっ？』

何…？
何て言った？今…

さっきまでの体の震えが嘘だったみたいにピタリと止まった。

「ｱﾂｼは…もう時間がないんだ。

…ｱﾂｼは……もう、長く生きれない。」

………？