Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】

そこには初めて見る、変わり果てた姿の大好きな人がいた。

あっちゃんを見て、自分を見失ってしまった。

『あっちゃん!!!』
あっちゃんのすぶぬれの手を握る力が強まる。

「卓!救急車呼びなさい!!
………早くっ!何してるのっ!?」

おばちゃんが怒鳴った。

「おお…おぅ!」

卓ちゃんはしどろもどろになりながらも、救急車を呼びに電話をかけに下へ降りて行った。

「ウァッ!!……ック…」
あっちゃんのTシャツは汗でぐしゃぐしゃになっている。

『あっちゃん!?
しっかりしてぇーっ!!』

その苦しむ姿に思わず叫び声を上げてしまった。

おばちゃんは自分を見失ってしまったあこの肩を抱いた。

「あこちゃんッッ!!
落ち着いて!大丈夫だから!!」

落ち着け?
落ち着いてなんかいられないよ!!

だって…だって…
こんなに苦しんでるんだよ!?

あこは何も出来ないんだよ!!!

ただ、ただ、苦しむあっちゃんの手を握る事しか出来ないんだよ。

ピーポーピーポー…

それから10分もしないうちに救急車が到着した。

待っている間は、一時間も待っていたくらい長く感じた。

「大丈夫だから、卓とあこちゃんは、家で待ってなさい!」

そう言って、苦しみ続けるあっちゃんとおばちゃんを乗せて、救急車は去ってしまった。

救急車のランプは真っ赤に光っていて、恐怖さえ感じてしまった。