Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】

「お前が選んだんだ。
お前の一番大切なヤツ…信じて、信じて、とことん信じぬけ!!
…幸せになれ!」


キィ…バターン…

ケンが出ていった。
館内には、あこの泣き声だけが木霊した。

ケン。
ありがとね?

あこ、絶対忘れないよ!

ケンの笑顔も優しさも…温かさも。

ケン…あなたがいたから、前へ進む事が出来ました。

ケンという一人の人間に感謝です。

バイバイ…恋人のケン。

これからもよろしくね、友達のケン。


PM 4:10

講義が終わる。

『エリ!もう行くね!』

「えっ!何、どこ?」

あこの慌ただしさに、エリが驚いた様に目を丸くした。

『病院!!あっちゃんのとこっ!!』
立ち上がって、窓の外を指さすあこは生き生きとしていた。

「そんなに急がなくったって、アツシくんは逃げないと思うケドォ?(笑)」

エリは頬ずえをついて笑っている。

『だめだめっ!寄るとこあるしっ!!

じゃあねっ!!』

走った。

走った。

『ただいまっ!』
あこが来たのは自分の家だった。

急いで階段を上がり、部屋に入って、鞄を床に放り投げた。

ゴソゴソ…
小物入れの中をひっかきまわす様に何かを探す。