Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】

振り返ってみると、本棚の間から、人が静かに姿を現した。

――――!!

『ケ…ン…何でここ…?』

もしかして…今の話、全部聞いたの?

ケンは都合悪そうに弱々しく微笑んだ。

「わりぃ…実は…エリに頼んで、図書館で話してもらったんだ。

やっぱ…好きな女の事だし、気になって…(笑)」

エリを見ると、ゴメン!と顔の前で両手を合わせていた。

…どうしよう…気まずいよ…

うつ向いてしまったあこを気遣うように、ケンが口を開いた。

「よ…良かったじゃん!!
良かったよ!マジで。
じゃあ…俺は退散するわ!(笑)」

ケン…もう目も合わせてくれないんだね?

そうだよね……

あこはケンに酷いことした。

いっぱい、いっぱい…傷付けた。

ごめんなさい。

「ケン!!…ごめんね…ごめんね…」

あこをムシするようにケンはドアに向かって歩いていく。

…ケン…。


キィ…

「あこ!俺との約束忘れたのかっ?」

『…あっ』

“とびっきりの笑顔で帰って来いよ?”

あこは涙でいっぱいの目でにっこりとケンに微笑んだ。

ケンもつられたようににっこりと微笑んだ。

「よし!もう大丈夫だな!

…泣きまくってたら、かっさらってやろうかと思ってたけど!(笑)」

『ケン!聞い…』

「あこっっ!!」
ビクッッ…

シーンと静まり返っている館内にケンの声が木霊した。