物音のする方を振り返る。

――――!!

『お姉…ちゃっ…』

「まこ!!」

お母さんは、驚いた表情をかくしきれていない。

お姉ちゃんを見ると、右手を腰に当てて、あこに優しく微笑んでいた。

「あこ…苦しかったね?

何にも出来ないあんたにしたら、上出来!(笑)
…頑張ったねぇっ!」

…ポンポンッ!
お姉ちゃんが触れたあこの頭は、優しさで包まれた。

そのあまりにも温かい優しさのせいで、涙が止まらなくなってしまった。

『うぇぇぇっ…
お姉ちゃんっ…』

「ばっか!(笑)
泣くな、泣くなっ!

…お母さん?
あこがここまでわがまま言うのなんて、初めてだねぇっ!?(笑)

産ませてあげよっ!

あこがこうなったら無理なんじゃない?」

カチャン!カチャン!
お姉ちゃんは床に散らばったカップの欠片を一枚ずつ拾いながら話した。

「まこ…あんたまでぇ…」

お母さんの目はまだ反対だと言い続けたまま、お姉ちゃんを見つめている。

エリもヒロトもポカーンと口を開けて、あまりにも明るく振る舞うお姉ちゃんを見ていた。

「賛成は…出来ないわよ…

まこだって分かるでしょう?父親がいない大変さは…」

「もぉっ!
お母さんっ…意地張るのやめたらぁ?」

お姉ちゃんは今まで聞いた事のないくらいの大きな、大きな溜め息を漏らした。