その男の手元を見ると、あたしの定期だった。 あたしはそれを無意識に受け取っていた。 「さっき、売店で落としたの見てたんだ。」 その言葉はっとして、あたしは、 「ありがとうございます。」 と軽く微笑んで言った。 さっきまでは本当にムカついてたけど、こういうことなら、さっきまでのことは簡単に許せてしまった。