了解、と捜査員全員が立ち上がり、次々と会議室を出て行った。

岸警部も達郎の肩を叩き会議室を後にする。

そして会議室にはあたしと達郎だけが残された。

「捨てとくわよ」

飲み干した缶コーヒーを持て余している達郎に、あたしは右手をさし出した。

「あ、いたのレミ」

膝から崩れ落ちそうになった。

あんた誰から缶コーヒー受け取ったんじゃい。

「あ」

「どうしたのよ」

「警部に本を渡し忘れてしまった」

「渡しとくわよ」

あたしは達郎から「都内スイーツマップ2009」を受け取った。

「あ」

「どうした、レミ」

あたしは自分の座ってたイスに戻ると、背もたれにかけておいたバッグからゴディバの箱を取り出した。

「はい、達郎」

あたしはゴディバを達郎に渡した。

「明日はバレンタインだからね。忘れる前に渡しておくわ」