苦しいくらいに、心音を
大きくしていく自分の心臓が。
体が。
言う事を聞かなかった。
「颯っ……」
飛び込んだ颯の胸は
思った以上に熱くて
あたしを抱きしめた
その腕も。
火を吹くそうなくらい
熱くて。
「…汐音、入って」
抱き寄せられて、
招き入れられた颯の部屋は
ひどく殺風景で。
颯、1人…暮らし?
ギュっと抱きしめると、
痛くなるくらいギュッと
抱きしめ返してくれる
颯が、言い表せないくらい
好きだ……。
「颯、好き……」
「…は……?」
背伸びして、スウェットを
思いっきり引っ張って
その熱を帯びた唇に口づける。
…熱い……。
瞑った目を開くと、
驚きのあまり目を泳がせた
颯の姿が目に入って。

