い、生きてた?
そういう話の振り方はどうなの?
もう、ロミオとジュリエットじゃなくね?
どうしよう。
また目が回り始めた。
メダパニだ!!混乱の魔法だ!!
「心から愛しているアナタが、死んでいるか生きているかなんて。私が、わからないはずないのですから」
なんとまた!
あくまでロミオ風だが確実に本人の性格が色濃く反映されたセリフ…!!!
恐ろしい!!
やつは素でそういうこと考えてそうで怖い!
何も出来ずに固まったままの私の後頭部に手を置いて、髪の上を滑らすように撫でる。
奴は口元だけで笑うような仕草を見せ、頭にあった手を腰上に、反対の手を膝裏に滑り込ませた。
「さぁ、二人で逃げましょう。壁などない広い世界へ」
奴は、そう言い終えるタイミングで私を抱えたまま立ち上がり、舞台から歩き出す。
お姫様だっこ…、初めてされたよ。
私は大人しく奴の横顔を見上げていた。
女のような白い肌と、色の綺麗な唇。
意志の強そうな目は黒目がちだが、しっかりとした印象を受ける。
マジマジと見ると、ホントに整った顔をしてらっしゃる。
これで、性格がよければなぁ…私も…。
「…」
はっ…!
私もって何…、私、も、って。
もしかしてもしかして、自分では気付かなかったけど…顔の好み超ドストライク!?
うわぁ…、最悪。
「“こうして真実の愛を見つけた二人は、人里離れた山奥で幸せに暮らしましたとさ”」
私達が捌ける寸前、突然そうナレーションが入った。
この声、ハルだ。
今までナレーションなんか一回も入んなかったのに…それってあり!?
ナレーションが終わると、会場から大きな拍手が巻き起こり、大喝采の中舞台の幕が下りた。


