「くそ…、親父め」



何度見てもうんざりする、煌びやかな前庭。
いや、まだ二回目だけど。

普通の学校は校門からグラウンドなわけだが、ここから見えるのは整えられた芝や彫刻のような木、オマケに小便小僧付きの大きな噴水だ。



別荘かよ。



周囲には同じ様に校舎に向かうべく歩く学生の姿が目にはいるが、品が良さそうなお坊ちゃんお嬢さんばかりで、口をついて出るのは溜め息ばかり。




生まれてから今まで、上品という言葉から一番疎遠と言って良かった私が、突然ウサギの群れに放り込まれてどうしろというのだ。


種族とか、種類とかが根本的に違うのは目に見えている。

一年間耐える自信がない。



ライオンにいきなりシマウマになれって言っているようなものだ。


不可能。






いなみに親父はというと、私にチンケなアパートを提供して村に帰っていった。

予期せぬ一人暮らしを強要されたわけで、親なら心配すべきところを「なんの為にお前に格闘技を教えたか分かるか?この為だよ」と、明らかに想定外だったと思しき発言をされたので一発蹴りを入れてやった。


格闘技は確実趣味だろう。毎月専門雑誌買ってるだろうが、プロレスの。


嗚呼、気が治まらない。


蹴り一発ではどうもわりに合わない。

今すぐ全力で殴り倒したいが、親父は勿論居なかった。


いや、居たとしてもこの場所で手を出そうものなら転校一日目にして引かれる感じ100パーセントだ。


前の学校はそれが普通だったのに。


今度から自分の行動にも充分注意を払わなければいけないわけで。



あぁ考えるだけで胃が痛い。





親父しね。