私の視線に恥ずかしさの頂点を越えたらしい委員長は、早足に階段を駆け上がって行ってしまった。




「あれ…?14日ってなんだっけ…」



仕方なく一人で歩き出したはいいものの、“14”と言う数字がイヤに引っかかる。


14階段…14番目のターゲット…14……。





「じゅうよん…」




何か大切な事を忘れているのは分かるのだが、喉で詰まって出てくる様子がない。
絶対知っているはずなのに思い出せない気持ち悪さ。

心なしか速度が落ちた足が教室の扉の前で止まり顔を上げると、窓越しにざわつく教室が見えた。



この雰囲気だって見覚えあるのに…。




なんで思い出せないんだ。




まさか14日に嫌な思い出でもあるのか?
そんなダークな過去を持つ人間なのか?私は!




モヤモヤする胸元を抑え扉を引いた瞬間、私の名前を呼ぶ声が教室中に響き渡りそれが誰のモノか理解する前に件の彼女が目の前に躍り出た。




「鈴夏さん!おはようございますお待ちしておりましたわ!」



「…、お、…おはよう…彩賀さん…」




数センチ低い両目を大きく輝かせて逃がさないとばかりに私の両手を掴んだ彼女は、意気揚々と教室に入り座席へ誘導する。

一番後ろの真ん中のその場所には見覚えのない大きな箱があった。


高さは私や彩賀さんほどで、可愛いラッピングにリボンまであしらえてある。

その箱はまるで…




「…プレゼント?」




「私(わたくし)この日の為に手作りしましたの。鈴夏さんに受け取っていただきたくて…」



私の為ですか…。
モジモジと顔を赤らめる俯く彼女は色っぽくて可愛いのだが、話や言動の糸口が見つからなくて何も言い返す事が出来ない。


あれ?
私の為って事は誕生日か何か?
でも誕生日は2月末だし、いや誕生日間違えてるとか?
いやいや、ていうか誕生日教えた覚えないから!




「…えっと…これは…」




お茶を濁す感じでこれは何なのか聞くのが無難だ。

私は無い脳みそをフルに活動させ、弾き出された最も逃げのきく言葉を口にした。