「可愛い顔すんなよ」


いつの間にかかき乱されていた髪を優しく直しながら要冬真がぼそりと呟いた。



「これで1回」



「…。はい?」





「2」

「ちょっ…」



啄むようなキス。




「3」

「やめ…」




「4」

「…ん!」




「5」

「っ!」


だんだん抵抗する気力を失ってきていた5度目のキスは、1度目と負けないくらいの深くて甘いモノだった。


でもそんなキスが死ぬほど嬉しいなんて。




私は変態に違いない。




そう他人ごとのようにぼんやり考えていると、甘く噛まれた唇の間がこじ開けられる違和感を感じた。
それが彼の舌だと気付いた瞬間には既に遅く、突然息苦しくなった呼吸に戸惑う事しか出来ない。


苦しい!
そしてなんかエロい!
今度は窒息死かふざけるなぁぁぁぁ!




「しねぇぇ!窒息させる気か!」




命かながらアッパーを食らわすと、無駄にタフな精神を見せる彼はノーダメージで楽しそうに私を解放した。

その唇は甘く濡れており、舐めとる舌に体が疼く。



あああ、私ってやっぱり変態だ!
シネ!出家しろ私!





「続きは家についてからだ」


「え!やだ!家に帰して!」


ダメ!
私変態だし無理だし、何するの?
下手したら後3回は死ぬ!
そして私はその度変態になっていくような、気がする!

そんなのイヤ!
まだ人間でいたい!人類でいさせて!




「暴れるなサル、檻に閉じこめんぞ」




サル!?
切なる願いも虚しく早速人間じゃなくなった!


しかもすげぇ理不尽!
なんでこんなヤツ好きなのか分からん!




「やだ!ざけんな!ナルシスト!俺様!ヘタレ!ぎゃー!私を人間に戻して!」


「うるせー意味わかんねーこと言ってんじゃねーよ黙ってらんねーのか!クソ女!」







FIN